北陸の米なんて気候も作り方も味もほとんど同じなのになぜ魚沼産コシヒカリだけ神格化されるのか
第2部 コメ
日本人が主食とするコメの生産は価格下落や担い手不足などの危機にさらされ、コメどころの本県にとっても
深刻な事態だ。「とやまの食」第2部は、コメ農家の現状と、その打開を目指す人たちの取り組みを追う。
(5)独自ブランドで差別化
「黒部米」「八町米」「メルヘン米」――。すべて県内産のコシヒカリに付けられたブランド名だ。県全体としての「富山米」
とは別に、地域農協が管内で生産するコメの一部に、独自のブランドや名称をつけ、差別化を図る動きが活発になっている。
JAくろべ(黒部市)のコシヒカリ「黒部米」は07年8月、特許庁の「地域ブランド」として、県外向けのコメとして全国で
初めて認証を受けた。
同農協の生産するコメ約7800トンのうち、約8割の6000トン前後が黒部米。独自に営業や販売を手がけ、主に
中京圏の個人や業者向けに県外で展開する。
こうした動きは、食管制度が廃止され、地域農協も販売が可能になったためで、山本善啓・JAくろべ営農経済部長は、
「産地間だけでなく、生産者同士の競争になっている」と説明する。多様化する消費者のニーズに伴い、特定のコメを
継続して安定的に確保したい業者の思惑とも一致。「ブランドが確立すると、より高い値段で販売でき、農家のやる気も
上がる」と強調する。
JA富山中央会(富山市)などによると、県内の17農協のうち独自にコメのブランドを持つのは14。独自の基準や肥料
で付加価値を高め、名前にも工夫を凝らす。ただ、ほとんどは知名度も消費も地元中心で、県外への展開はむしろ少ない。
独自のブランドを県外で売るには、ある程度の量に加え、独自の営業努力が必要になるなど、「単独農協では難しい」
(JA富山中央会)ためで、多くは主に地元スーパーなどで地元農協産品としてアピールする「地産地消」の意味合いが強い。
それでも、共通するのは、「この農協ならではのコメを作っているという生産者のこだわり」(農協担当者)。差別化を図る
動きはますます広がりそうだ。
http://hokuriku.yomiuri.co.jp/hoksub2/tomishoku/ho_s2_08071201.htm