(5)宝達 7年ぶり野球部が復活
http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000520807090001 「わりいっ」。遊撃手の土上裕生(15)がボール回しで投げた球は、谷原潤(15)のミットのはるか上を飛んでいった。
「どこ狙って投げてんだ。低めに投げろと言ってるだろう」。金木が叫ぶ。
投げる側が決めても捕る側が失敗する。「あれっ」。手足をばたつかせて慌てるが、球がミットに収まらない。
「あきれて笑いが出るわ」。宙を仰いだ金木を見て、主将の辻将樹(16)が「真剣にやっとるんか!」と仲間に声を荒らげた。
思わずむきになってしまうのには理由がある。辻は、夏の大会出場が決まった日、監督にかけられた言葉を忘れない。
「お前らを信じるから、出るって言ったぞ」
それなのに、簡単なことができない。取れるはずの球を落とすし、腰が引けてボールから逃げ出しそうな部員もいる。
そんなチームがもどかしくても、どうすることもできない。「いっつも、いっつも怒られてる。最近嫌や」。辻が思わず弱音を漏らす。
金木はグラウンドを駆け回る部員の姿を見つめながら話す。「あいつらは、まだ試合を知らない。勝負を知らないんですよ。
だから、本気になんてなれない」
これは・・・