◎回収硬貨、石川県の収入に 兼六園の金城霊沢に投げ込み
兼六園内の湧泉(ゆうせん)、金城霊沢(きんじょうれいたく)に投げ込まれた硬貨の取り扱いについて、
同園を管理する石川県は二十七日までに、金沢神社に届けていた慣例を改め、県の収入とすることを決め、
過去一年間に投げ込まれた二万六千円余を回収した。県は「硬貨の所有者は明確でないが、回収して
収入とすることも管理行為に含まれる」(県金沢城・兼六園管理事務所)との認識を示している。
硬貨は例年、六月の金沢百万石まつり直前に金城霊沢を清掃する際に県が回収している。長年の慣例
から、金城霊沢の元の所有者である金沢神社に届けていた。しかし、数年前から、県管理施設に投げ込
まれた硬貨を「神社に届けるのは適切でない」との声が同事務所内で出始め、今後の取り扱いを協議して
きた。
県が金沢中署に確認したところ、「投げ込まれた硬貨は遺失物には当たらない」との回答を得て、金沢駅
東広場の地下池に投げ込まれた硬貨を金沢市が市の収入にしていることも参考に県の収入とすることに
した。
同事務所は「硬貨の所有者が明確でないため、神社に寄付していたという認識はない。憲法の政教分離
には反せず、憲法が禁止する宗教団体に対する公金の支出にも該当しない」としている。これまでの硬貨
の返還を求める考えもないという。
金城霊沢に硬貨を投入する行為がいつごろから始まったのかは定かでないが、同事務所によると、一九
七四(昭和四十九)年に千百六円分の硬貨が見つかり、金沢神社に届けたとの記録がある。県は「ローマ
の『トレビの泉』のように再訪を願って投げ入れているのではないか」(公園緑地課)とみている。
管理事務所の山口勝昭所長は「より良い措置を模索して県の収入にすることにした。今後は兼六園の
管理費などに活用したい」と話している。金沢神社の厚見正充宮司は「硬貨を県の収入とすることについて
問題とは思わない。有効に活用してほしい」と話した。
http://www.hokkoku.co.jp/news/HT20080628401.htm