【Technobahn 2008/6/4 15:54】放射性同位元素を用いた分析によりニュージーランドに最初に人類が到達し、
生活を始めたのは1280〜1300年頃という研究報告が米学術専門誌「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に
発表された研究論文によって3日、明らかとなった。
この研究を行ったのジャネット・ウィルムスハート博士を中心とする多国籍研究グループ。
研究グループはニュージーランドに最初に入植した人類によってニュージーランドに持ち込まれたと見られるパシフィック・ラット
(学名:Rattus exulans)の骨を英オックスフォード大学にあるオクスフォード放射性炭素加速器(Oxford Radiocarbon Accelerator
Unit)を使って分析。その結果、従来まで紀元前200年頃とされてきたこの骨は、実際には紀元1280〜1300年頃のものであるという
分析結果にたどり着いた。
紀元前200年という年代測定は1996年に英科学雑誌「ネイチャー」発表されたものとなるが、この説に関しては動物学者の間か
らは、人類によって持ち込まれたパシフィック・ラットのような外来種の脆弱な小動物がニュージーランドの生態系で1000年間にも
渡って生存し続けることは考えられないといった批判に加えて、歴史学者からは骨が発掘された洞窟の泥炭質の沈殿物で
汚染されたために年代測定に誤ったのではないか、といった批判もでていた。
今回、研究グループはより正確な年代測定を行うために、放射性炭素年代測定法の分野でも最も正確な測定な可能な
オクスフォード放射性炭素加速器で2004年以来、約4年の歳月をかけて試料の再分析を実施。その結果、この骨は実際に
は紀元1280〜1300年頃のものであるという調査結果にたどり着いたとしている。
紀元1280〜1300年頃という今回の調査結果は、ニュージーランドに最初に入植を行ったポリネシア系のマオリ人の伝承にも
近いことから、ニュージーランドおよびオーストラリアの歴史学者の間でも今回の研究結果に関しては好意的に受け止められている。
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