小麦や牛乳の価格高騰は、学校給食の現場を直撃している。二日に食材の緊急支援を明らかにした
足立区のほか、品川区や中央区が緊急措置の方針を打ち出すなど、二十三区の現場からは「内部努力
だけでは苦しい」との声があがっている。給食費の値上げは、圧迫されている家計にも打撃となるだ
けに、保護者らのため息も深い。
二十三区では今年四月時点で十五区が給食費の現状維持に踏みとどまった。だが、予測を超えた価
格高騰に、品川区が二学期から値上げする方針を固め、足立、中央が公金投入に踏み切る方針だ。
今春の値上げを見送った北区では「本年度中に足りなくなる」。中野、板橋区も「食材費の高騰が
続けば来年度は値上げを検討せざるを得ない」。
江東区や江戸川区などでは現場でのやりくりに腐心。世田谷区でも「リンゴを五等分していたとこ
ろを六等分に。牛肉を豚肉にしたり、サクランボをミカンに代えたりして、安い食材で代用している」
と説明。実際、昨年度に比べて果物を出す回数は月九回から六回ほどに減ったといい「このままだと、
さらに減らさないといけないかも」。
中央区教委の担当者は、こうした工夫が常態化する現状に「例えば、高いメカジキが使えず白身の
深海魚やシャケが続く。多様な食材を使えず同じものばかりになるのは食育の面でも問題」と危惧
(きぐ)する。
七年ぶりに値上げした渋谷区も「四月以降も食材の価格は上がっている。途中で苦しくなるが、年
度内は何とか我慢したい」。小・中学生ともに一日十円前後の値上げだが、逆に保護者からは「その
程度の値上げでやっていけるのか」との声も寄せられたという。
板橋区では区長への投書に「(給食費を)値上げしないで」と切実な要望もあるというが、区立中
学生の息子を持つ練馬区の母親(46)は「給食を楽しみにしている息子たちには、安全でおいしい
ものを食べてほしい。食品価格の高騰で値上がりしたとしても仕方がない」と嘆息した。
一方、今回の価格高騰で関係省庁は「いかんともしがたい」との立場だ。
(略)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008060490070833.html