県内の介護・福祉施設の4月の有効求人数が4年前の4倍、1200人台と急増する一方、有効求職者数は200−300人台で低迷していることが29日、
県福祉人材研修センター(長野市)のまとめで分かった。「景気回復で他業界の賃金が上がり、比較的賃金の低い福祉分野から人が流れている」とみている。
同センターは県社会福祉協議会内の組織。6月5日、介護・福祉の関係者でつくる福祉人材確保定着推進会議を発足させ、介護福祉士やヘルパーの資格を持ちながら休職していたり、他業種に流れていたりする人材の確保策などを来年2月までに検討する。
センターの福祉人材無料紹介事業によると、介護・福祉職の2004年4月の求人数は299人で、361人だった有効求職者数を下回る「買い手市場」だった。それが05年4月、求人数が2・5倍の751人に急増する一方、
求職者数は258人と逆転。求人数は07年4月で928人、08年4月で1202人と増え続けたが、求職者数はそれぞれ363人、207人と低迷している。
介護労働安定センター(東京)が06年度、全国の福祉施設を対象に行った調査によると、正規介護職の平均月給は21万3800円で、時給や日給で働く嘱託、
パートになると賃金などの待遇はさらに厳しいとされる。06年度の介護職の離職率は24%で04年度より2・6ポイント増え、人材流出を裏付けている。
県福祉人材研修センター長の小池正志さんは「人材不足による現場スタッフの過重労働はさらなる離職者の増加やサービス低下にもつながりかねない」と説明。推進会議の発足について「根本的には待遇改善が必要だが、当面できることを考えるしかない」としている。
http://www.shinmai.co.jp/news/20080530/KT080529FTI090005000022.htm