盲目の78歳おじーちゃん、ボウリングでパーフェクト出す

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30 裕子ちゃんの母(89才)
デイビスさん「自分の体は自分が一番分かってる・・・もう長くないようだ」
オーナー「そんな・・・きっと大丈夫ですって・・・」
デイビスさん「気を遣わなくてもいい。君も分かってるだろう?」
オーナー「・・・」
デイビスさん「ああ、死ぬ前に一度でいい、一度でいいから大好きなボウリングでパーフェクトを出してみたかった」
オーナー「・・・出来ますよ」
デイビスさん「?」
オーナー「必ず出来ますよ!やりましょう!」

翌日オーナーは観客を集め、デイビスさんの挑戦を見守った。オーナーは無理があると思いながらもこの企画を立ち上げた。
親友デイビスへの義理もさることながら、ボランティアや客寄せの意味も少なからずあったのだ。
しかしオーナーの予想に反して、デイビスさんはストライクを取り続ける。観客も次第に沸き立つ。
観客「すごい・・・盲目とは思えん」
オーナー「・・・」

そして最後の一投。最大の静寂と緊張が会場を包んでいた。
ついに球は投げられた。緩やかなカーブを描きピンに向かう。
理想的なラインだ、誰もがそう思った。乾いた音を響かせ、ピンが倒れる。そこにはただ1本のピンが残った。

デイビスさん「ど、どうだ?どうなったんだ?見えないんだ!教えてくれ!」
観客が溜め息をつきかけたその時だった。大音量の拡声器でオーナーが叫んだ。
オーナー「ストライク!ストライクだ!!デイビスさん!やりましたよ、パーフェクトだ!!!」
一瞬の間を置いて、観客から割れんばかりの歓声と惜しみない拍手が巻き起こった。
オーナーが盲目の親友と握手を交わそうとすると、
そこには倒れたピンの様に力無く、しかし誇らしげな表情で横たわるデイビスさんがいた。