客は炭鉱マン・麻生太郎・藤圭子 筑豊随一のクラブ全焼
2008年04月24日12時26分
福岡県飯塚市本町の商店街火災で、筑豊に残る最古参クラブ「銀座」が焼け落ちた。
昭和初期に開業し、ヤマ全盛期は炭鉱マンが豪遊し、政治家がグラスを傾け、
下積み時代の有名歌手が舞台でマイクを握った。時代が変わり、店じまいが相次いでも、
常連客の愛顧を受け、代表の藤田尚徳さん(71)とママのミヨ子さん(74)の夫妻が
二人三脚で守ってきた。その店の灯が、消えるかもしれない。
(中略)
同県福智町出身の田中六助・自民元幹事長(故人)は60人で同窓会を開いた。
若い頃の麻生太郎・自民前幹事長も仲間とビールをあおった。
「政治家は飲み方がきれいね」と尚徳さん。売れ始めの菅原文太さんや仲代達矢さんも来店。
デビュー間もない歌手の藤圭子さんが来た時は、夫妻でレコードを売り歩き、宣伝に一役買った。
(以下略)
4月21日も普段通りに営業するはずだった。「火事です」。
午後3時半ごろ、知人が自宅に駆け込んできた。尚徳さんは急いで店に向かったが、
狭い路地は煙がもうもうと立ちこめて近づけず、店の最期を見ることはできなかった。
ただ、立ちつくした。頭が真っ白になった。
被災後、「頑張って」と励ましの言葉が続々と届く。ミヨ子さんは「お客さんに申し訳なくって」と言う。
これからのことは何も決めていない。「再建はあきらめざるを得ないのかもしれないな」。
尚徳さんは複雑な気持ちだ。(桑原紀彦)
http://www.asahi.com/national/update/0424/SEB200804240008.html