脂肪2%、赤身1.5倍 貴重な短角牛増産へ/東北大が育成 健康志向を追求
掲載日:08-03-24
低カロリーの軟らかい赤身肉を追求した和牛の系統造成に、東北大学が乗り出した。
脂肪分をわずか2%にとどめ、赤身の割合を通常の1.5倍にする遺伝子を持つ短角牛だ。
放牧が可能で、健康にも環境にも優しい牛肉として増産を目指す。
育成に取り組む大学院農学研究科の山口高弘教授は「この遺伝子を持つ短角牛は、
豚尻という不良形質を理由に淘汰(とうた)されてきた。しかし、今こそ見直されるべき
貴重な資源だ」と言う。
赤身が多く、脂肪交雑(サシ)が入らないため、日本短角種の改良を進めてきた岩手県は、
種雄牛の遺伝子診断で排除してきた。海外では2倍の筋肉という意味で「ダブルマッスル」
(DM)と呼ばれ、脂肪分が少ないことから健康牛として珍重されている。
筋肉の成長を抑えるたんぱく質のミオスタチンという因子がなく、肩や尻に肉が付き、
外観は豚尻に似ている。霜降り牛は40%が脂肪だが、DM牛は2%以下。
餌の量は同じでも赤身肉が多く、飼料効率が高い。
粗飼料で育つため「集約的な管理でたくさん餌を与える黒毛和種と異なり、牛にも環境にも
負荷を与えない」(山口教授)とし、消費者にもヘルシーな赤身肉の需要は高いとみる。
日本農業新聞
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp//modules/bulletin4/article.php?storyid=357