80年前の村民が5年間禁酒してまで改築した小学校廃校

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1 生き物係り(福岡県)

「禁酒村」の小学校閉校 80年前の村民が酒絶ち改築費調達  (1/2ページ)
2008.3.15 21:46

 石川県津幡町の山あいにある河合谷地区(旧河合谷村)は、昭和初期に全住民が5年間禁酒し、
小学校の改築費用を積み立てた「禁酒村」。その河合谷小が3月末、過疎化のあおりで閉校になる。
地域が学校を支える力は、約80年の間に大きく変わったようだ。

禁酒で校舎改築

 同校の近くに住む金田朝子さん(83)の自宅玄関には「禁酒」と書かれた札がかかっている。
禁酒村時代の名残だ。
 大正15年、村では老朽化した校舎の改築に約4万5000円が必要となった。
津幡町史によると、同年の村の徴税額は計約2万7000円で、村にとって大金。
当時の森山忠省村長は年間約9000円に上る村全体の酒の消費額に注目、
全住民が禁酒し各戸に1日5銭の積み立てを呼び掛けた。
 村内では酒類販売も禁止、各戸の玄関には禁酒の札の掲示が義務付けられた。
金田さんの家は廃業した8軒の酒屋の一つ。金田さんは「子供のためと考えたら、誰も反対しなかったでしょう」
と笑うが「そのころの人たちの苦労を考えると、閉校はさみしい」と札を見上げながら話す。
(中略)
 津幡町中心部は金沢市から車で約20分。町全体の人口増加率は県内1で、中心部には9年に新しい小学校ができた。
宮嶋茂教育部長は「小規模校を否定はしないが、限られた予算で適切に学校を配置することになる」と説明する。
(中略)
日本経済史が専門で、この地区の調査も行った金沢大の橋本哲哉副学長は
「戦前の日本では村が小学校を自分たちの力で建て運営したため、住民と学校の距離が近かった。
戦後は負担が減った分、住民の学校に対する愛着も希薄になった」と、地域と学校の関係の変化を指摘する。

 13日の最後の卒業式で4人の卒業生を送り出し、同校は133年の歴史を閉じる。

写真: 自宅の軒下に残る「禁酒」の札(右上)を見上げる住民の金田朝子さん=石川県津幡町
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080315/trd0803152146015-n1.htm