3力士、無期限の出場停止処分 相撲協会決定
2008年03月06日13時50分
日本相撲協会(北の湖理事長=元横綱)は6日、大阪市内で臨時理事会を開き、若手力士の傷害致死事件で
名古屋地裁に起訴された3人の兄弟子について当面の間は出場停止処分とし、有罪が確定した時点で解雇処分
とすることを決めた。同容疑で書類送検された2力士(他の1人はすでに引退)は、今場所1場所の出場停止
処分を科す。
無期限停止処分を受けたのは、木村正和(しこ名・明義豊(あきゆたか)=西幕下58枚目)、伊塚雄一郎
(同・怒濤(どとう)=東序二段筆頭)、藤居正憲(同・時王丸=西序二段86枚目)の3被告。やはり起訴
されている前時津風親方の山本順一被告(58)については、逮捕前の昨年10月に解雇処分としている。
起訴状によると、3人は昨年の名古屋場所前の6月25日夜から26日の昼にかけて、愛知県犬山市の宿舎
などでぶつかりげいこの名目で入門3カ月目だった斉藤俊(たかし)さんに暴行し、死亡させたとされる。
兄弟子らは大筋で暴行が制裁だったと認めている、という。
相撲協会は3人が逮捕された先月7日、起訴された29日とも処分は先送りにしていた。29日は理事会も
開かず、北の湖理事長は「刑事裁判の推移を注視しながら対応していく」とするコメントを発表した。
その後、方針を変え、9日初日の春場所(大阪府立体育会館)前に話し合う姿勢を示していた。
朝日新聞社
http://www.asahi.com/national/update/0306/OSK200803060070.html ■産経スポーツ
★相撲のけいこは“愛のムチ”
「けいこだけは肉親には見せられない」という大相撲の親方が、昔は多かった。竹刀やホウキの柄で滅茶苦茶にたたかれ、
体中ミミズ腫れになったわが子の姿を見せられたら親は取り乱す。しかし、親方や古参の兄弟子が「そこまで」という
“愛のムチ”の限界を心得ていて、息絶え絶えだった若い力士もすぐに元気を取り戻した。
部屋によってはいまも残るそんな厳しいけいこでファンを喜ばせる強い力士が育ち、悪童が礼儀正しい若者に変身し親が感謝する。
それが相撲界の特質でもある。3カ月前、17歳の序ノ口力士がけいこ中急死した問題で傷害容疑が浮上した元小結双津竜
の時津風親方(57)も、そのへんはよくわきまえていたはずだ。
30分にもわたるぶつかりげいこの後に、兄弟子から暴行を加えられ急死した力士は、入門後もタバコを辞めず再三脱走を
繰り返したという。親方としては相撲を通じてなんとか素行を改めさせたかったのだろう。しかし、チャンコの席でビール瓶で
殴ったのは常軌を逸していた。普段は温厚な親方が何を血迷ったのか、と首をひねるばかりだ。
ある部屋では「うちの子が兄弟子が怖い、といっている。ホテルから通わせてもらいたい」と新弟子の親からネジ込まれる時代である。
7月の名古屋場所前に起きたこの問題の影響で、親から入門を断られた部屋もあり、ますます新弟子は取りにくくなる。
全体的に甘くなったけいこが、力士減ではさらに甘くなるだろう。
厳しいけいこがあってこそ、いい方向に向けての“愛のムチ”も生きてくる。けいこのあり方や、新弟子の集め方が根底から
問われる相撲界の一大事として、協会も心して対処すべき問題だ。
http://www.sanspo.com/top/am200709/am0927.html