http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008030302092201.html 大国が覇権を争えば、新興国家では民族間の軋轢(あつれき)が深まる−。ユーラシア大陸が揺れ続けています。
安定的な秩序形成には、粘り強い営みが必要です。
「有志連合」の各国がイラク撤退に動きだした昨年、逆に増派した国がありました。ヨーロッパとアジアを結ぶ
回廊・カフカスにあるグルジアです。スターリンの出身地として有名です。
米ロ角逐の最前線
イラク増派は倍以上の二千人規模。サーカシビリ大統領は二〇〇三年の「バラ革命」と呼ばれた民主化運動を
主導して政権に就きました。
一貫して親米路線をとり、増派も北大西洋条約機構(NATO)に加盟したいがためでした。
米国もNATO加盟を後押しし、グルジア軍兵士の訓練のため将校を派遣しています。グルジアにはロシアを
迂回(うかい)してカスピ海から原油を供給するパイプラインが通り、米国にとっては地政学的要衝なのです。
ロシアにすれば、こうした米国の動きは自分の縄張りに手を突っ込んできた、としか思えません。
ロシアはNATO加盟なんて絶対認めないと、サーカシビリ政権をにらみつけています。
グルジアは米ロが角突き合う舞台になっているのです。
新興国家は総じて、国を束ねるために民族意識を高揚させる政策をとります。
ソ連末期の一九九一年に誕生したグルジアでも、サーカシビリ政権は栄華を誇った中世グルジア王国の国旗を
復活させ、国家のアイデンティティー確立を目指しています。
しかし、民族主義が突出すれば、グルジアのような多民族国家では逆効果になります。
グルジアは北海道よりやや狭い小国ですが、北隣のロシアへの分離・帰属替えを求めるアブハジア自治共和国と
南オセチア自治州を抱えるモザイク国家です。
ソ連崩壊前後には両地域で激しい民族紛争が起き、ロシアも分離派を支援しました。
コソボ独立の波紋
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