イチローは「野球天皇」
福岡ヤフードームでのWBC日本代表チームの練習。日本の取材陣約200人の目が一人の選手の動きだけを追う。
10台以上のテレビ局のカメラ、40台を超えるカメラを構えたすべての取材陣の関心を一身に受けている人物がいる。イチローこと鈴木一朗(33/シアトル・マリナーズ)だ。
メディアが現代版ヒーローを生むという言葉は、イチローに向けられた日本のマスコミの態度からしみじみ実感できる。
日本の取材陣はイチローとともに現れ、イチローがいなくなると引き潮のように去っていく。松坂大輔(25・西武ライオンズ)、
松中信彦(33・ソフトバンク)といった日本のプロ野球を代表する一流選手たちも数多くいるが、イチローに注がれる関心に比べれば彼らはまったく微々たる存在にしか見えないほどだ。
「イチローの神格化作業」とも思える日本のマスコミの過熱報道ぶり。日本のプロ野球を経験したWBC代表チームの宣銅烈(ソン・ドンヨル)投手コーチはこれについて明快な解釈を下す。
「日本は天皇を崇拝する国じゃないですか?」
イチローと肩を並べる松井秀喜(32/ニューヨーク・ヤンキース)にはない端麗な容姿、日米の球界で頂上に上り詰めた実力、
親近感よりはカリスマが要求されるスターマーケティングの趨勢。現在、日本でイチローはまさに「野球天皇」として崇拝されている。
イチローはマスコミに対し非協調的なことで知られているが、これさえもカリスマとして容認されているようだ。
天皇の言葉は日本の全国民を団結させる。「野球天皇」イチローもこのことをよく知っているようだ。
「戦った相手(韓国を指すものと思われる)が“向こう30年は日本に手は出せないな”という思いになるほどの勝ち方をしたい」という発言は、
韓国代表選手を刺激し、日本代表チームが一致団結する効果を発揮している。天皇の一言はこのような力があるのだ。
メジャーリーグの頂上から滑り落ちた「コリアンエクスプレス」朴賛浩(パク・チャンホ)。日本のプロ野球でこれから正念場を迎える「国民打者」イ・スンヨプ。韓国版「野球天皇」の不在が惜しまれるWBCだ。
http://www.chosunonline.com/article/20060226000010