奈良県橿原市観音寺町の京奈和自動車道建設予定地で、弥生時代中期
(約2200年前)の大規模な方形周溝墓が計17基見つかり、県立橿原考古学研究所が
23日、発表した。奈良盆地南部に位置し、最近まで水田が広がっていた同地区では、
これまで遺跡の存在は確認されておらず、当地での弥生人の暮らしぶりをうかがわせる
貴重な資料となりそうだ。
インターチェンジ建設に伴い、約1万2000平方メートルを調査。その結果、
県内最大規模(縦14メートル、横16メートル)の方形周溝墓をはじめ、十数メートル四方
の同様の墓が次々と見つかった。遺体が埋葬された墳丘部分は室町時代ごろの
水田開発などで失われ、墓を方形に区切る溝だけが残っていた。溝では被葬者に
供えられたとみられる土器も出土した。
方形周溝墓は、近畿では弥生時代中期に盛んに築造され、当時の一般庶民が家族
ごとに1基ずつ所有したと推測されている。奈良県内では、八条北遺跡(大和郡山市)で
50基見つかったのが最多で、20基前後がまとまって築造されるケースが多いという。
同研究所の本村充保主任研究員は「この地域は水田だったため長年開発もなく、
発掘調査がほとんど行われていなかった。今回の調査地近くには方形周溝墓を築いた人
たちの集落があったのではないか」と話している。
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080123/trd0801232026011-n1.htm