http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20080121p102.htm 街の真ん中で、見ず知らずの人と抱き合う若者たち。苦しみや悲しみを和らげ、幸せを分かち合う「フ
リーハグ(FREE HUGS)」と呼ばれる。インターネットで、日本にも広まった新しいコミュニケーション
なのだという。相手を軽く抱き締める欧米流のあいさつ「ハグ」に慣れない日本で根付くのか。「言葉よ
り温かい」「理解できない」――。賛否の声を抱き込みながら、その輪はじわりと広がりつつある。
休日。大阪・ミナミのアメリカ村に18〜37歳の男女8人が集まった。ヒッチハイカーのように掲げた紙
に「FREE HUGS」。
大阪府東大阪市のダンス講師大野さなえさん(28)は、近づいてきた男性(22)をギュッと抱き寄せた。
「心が落ち着く」と喜ぶ男性に、「ハグっていいでしょう」。
1年間、カナダで暮らした経験がハグを求める。「握手と抱擁、本音を言い合う人と人とのつながりに驚
いた。何でもメールで済ませる日本とは大違い」
帰国後、フリーハグを知り、2006年9月から始めた。今では、アメリカ村やJR大阪駅近くに週に1、2
度出掛け、多い日には約30人と抱き合う。やがて、ハグを交わした若者たちも仲間に加わってきた。
フリーハグは、01年に母を亡くした米国の青年が、「フリーハグ」と書いたボードを持ってマイアミの海
岸を歩いたのが起源と言われる。04年には、豪州の青年が街頭で始め、動画投稿サイトの「ユーチ
ューブ」に投稿し、世界に広まった。
日本でも会員同士の交流サイト「ミクシィ」などで紹介された。数十のグループがあり、5000人のメン
バーを抱えるところもある。「ミクシィ」で活動の様子を日記として公開している大阪市此花区のフリー
ター田川香絵さん(22)は「優しい言葉を掛けられるわけでもないのに、ただ、人と触れるだけで、優し
い気持ちになれる」。20080121144411434L0.jpg