2008/01/11-07:00 佐賀北Vナイン支えた詩=山本よしきさんの「ピンチの裏側」
昨夏の全国高校野球選手権大会を制した佐賀北高ナインが心の支えにする一編の詩がある。
福岡県飯塚市の詩人、山本よしきさん(60)の「ピンチの裏側」という詩だ。「神様は決して
ピンチだけを お与えにならない」という書き出しで始まるこの13行の詩を収めた詩集が、
昨年11月に発売された。
佐賀北高野球部では、9年前からこの詩を部室に掲げている。現在は部室の外にある看板に
ペンキで書かれており、風雨などで文字が消えかかると部員が再びペンキで上からなぞっている。
山本さんがこの詩を作ったのは15年前。保険会社のサラリーマンから詩人となったが、
自費出版の詩集5000冊がなかなか売れず途方に暮れていた時だった。「苦しかった。
『ピンチはチャンス』という言葉に答えを出したかった」と振り返る。
昨夏の甲子園決勝戦、佐賀北の逆転満塁本塁打の場面を山本さんはラジオで聴いた。「あの
瞬間、球場が揺れているのを感じた」。翌日、佐賀北ナインが自分の詩を愛読していることを
初めて知ると、新しい詩を贈った。主力選手が控え選手をいたわる姿が印象に残ったという
山本さんは、「人は 一人では 生きていけない 支え 支えられて 生きている」と書いた。
出版社によると、詩集は「かなりの売れ行き。詩集としては異例」という。山本さんは
「人生の勇気、生きるヒントを伝えられれば」と話している。(了)
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2008011100102