受入拒否った5つの救命救急センター曰く「年末年始は事故っても面倒見れん」
353 :
候補者(神奈川県):
じゃあ、燃料投下すっか。長くなるがせっかく打ち込んだから読んでね。
君等の嫌いなアカヒの人の文章だよ
【医療危機と新聞報道】田辺功(朝日新聞編集委員)
私は07年4月から2ヶ月間、朝日新聞朝刊で40回の連載シリーズ
「ドキュメント医療危機」を担当した。
医療現場はかなり以前から、年々、仕事が過酷になっている。慢性的
な人手不足の上に、インフォームド・コンセントの徹底など保険医療面
で新たに要求される事がどんどん増えた。また、医療技術の発展で、従
来は出来なかった治療が可能になった。それらは一歩間違えば、生命の
危険と隣り合わせだ。その反面で、医療事故に対する患者や世間の目は
恐ろしく厳しくなった。
しかし、新聞を始めとするマスコミは、どちらかといえば国や患者側
で、医師を締め付ける側の論調ばかりだった。私はシリーズの中で、こ
うした点に触れ、国民の意識が医師を追い込んでいる面のある事を指摘
した。従来の方向とは逆に、医療関係者の立場を理解した上で医療崩壊
を防ぐ方法を模索しようとした。かねて同じように感じ、不満を抱いて
いた先生方から、私は行く先々で感謝された。
1回800字余りで、決して長い記事ではない。医療の中身は、しば
しば国民の理解を超えるほど難しい。抽象的な理屈は誰にもピンと来な
い。それで、出来るだけ具体的な話題を取り上げた。コンパクトな割に
は、国民に医療の実態を知ってもらい、このままでは大変だ、との危機
感を伝える事は出来たと思う。「医療の状況が初めて分かった」との感
想を、多くの読者からいただいたのはうれしかった。
354 :
候補者(神奈川県):2008/01/06(日) 15:08:20.84 ID:GhhyNiDc0
「医師批判が強かった朝日新聞の論調が変わった」という声もあるが、
それは保証の限りではない。外からは新聞社やマスコミは一つの固まった
組織と見えるが、実際は個々の記者の集まりに過ぎない。たまたまシリー
ズを私が担当したからで、別の記者なら全然違った内容になったかも知れ
ないからだ。
マスコミが「社論」のような特定の主張をする問題は、実はきわめて限
られている。医療を含めてほとんどの問題は担当する記者に任せられてい
る。脳死臓器移植問題や代理母問題などでは、同じ部署に全く反対意見の
記者がいる事もある。同じ社の記事が、骨子は共通でも、担当した記者に
より肯定的にも否定的にも書かれる。マスコミは個々の記者の勝手な記事
が集まり、ぶつかり合い、影響し合いながら、結果的に形ができていく生
き物のようなものだ。論調もまた、状況に応じて動いていく。
355 :
候補者(神奈川県):2008/01/06(日) 15:08:41.55 ID:GhhyNiDc0
私はこの30年、医療現場を取材してきた。それなのにと、反省をこめ
て考える。私たちマスコミはなぜ、医療がこれほどひどい状況になるまで、
放置していたのだろうか。
今日の医療危機は、もちろん以前から始まっていたのだが、浮かび上がっ
てきたのは04年4月の臨床研修必修化からだ。地方の病院で産婦人科医が
いなくなり、わが町でお産が出来なくなる、というニュースが東北地方や島
根の離島やから立て続けに飛び出した。その背景には医師不足がある。そし
て、その背景には産婦人科医の過酷な勤務が。医師の労働が全体としてこれ
ほどひどい状態になっていることを私自身が、それほど深刻に受け止めてい
なかった事が恥ずかしい。
言い訳をするようだが、残念ながら、日本のマスコミの情報収集力は高く
ない。全体でいえば、それは日本の記者クラブ制度に原因がある。これは医
療に限らない。国の省庁や業界、政党、有力団体、自治体や警察には記者ク
ラブがあり、取材窓口になっている。毎日、最新情報がクラブを通じてマス
コミ各社に流される。待っていれば材料が集まってくるのだから、これほど
楽はない。しかし、その情報量は結構多く、クラブ詰め記者は1日の大半を
その処理で費やす。わざわざ外に出て取材する時間も少なく、結果としてク
ラブに流れてこないものはほとんど報道されない。
356 :
候補者(神奈川県):2008/01/06(日) 15:09:01.02 ID:GhhyNiDc0
医療関係では日本医師会クラブ、製薬業界が情報を入れる産業関係のクラ
ブもあるが、抜きん出て強いのが省庁クラブ、つまり厚生労働省クラブだ。
予算は財務省クラブ、制度改革を担当する経済諮問会議などにもクラブがあ
る。
日本では、事実上、報道の6,7割は省庁の決定事項や、今後の方針を国
民に知らせるニュースで占められている。従って、マスコミの主役は省庁を
筆頭とする重要なクラブ詰めの記者だ。クラブ詰め記者は、毎日会見をフォ
ローする。省庁では官僚がその背後の事情を丁寧に説明する。毎日出会って
話をしていると、いつの間にか記者も官僚と同じ認識や目線になっていく。
もともとの意見や知識があるわけではないので、国の政策に疑問が生じる余
地はない。
マスコミが医師や医療に冷たい、敵対的だったという指摘はある。しかし、
その多くは記者個人の考えというよりは、厚生労働省や財務省や経済諮問会
議の方針の反映だ。
357 :
選挙運動員♀(コネチカット州):2008/01/06(日) 15:09:19.27 ID:uKzr9RNVO
すべて外人が悪い
358 :
候補者(神奈川県):2008/01/06(日) 15:09:20.77 ID:GhhyNiDc0
医療事故を起こした医師の逮捕を警察はクラブで発表する。逮捕は大きな
ニュースだ。警察のクラブ詰め記者は発表元に絶対の信頼を持っている。ま
た、特別に医療に詳しいなどという事はない。「逮捕されるくらいだから悪
質なのだろう」と思う。警察が、患者はいかにかわいそうだったか、これも
ミス、あれもミスで、いかにずさんな医療が行われたかと詳しく説明すれば
共感する。そうしてその通りに書く。
残念な事に、マスコミの内部も官僚化が進んでいる。デスクや部長などの
責任者は自分の失点になる事を警戒する。個人の研究者の仕事は危ないが、
大きな研究所や会社、政府の仕事は安全だと考える。そのために、省庁のク
ラブ記事が一番載りやすい。仮に間違っていても「国の発表、警察の発表だ
から信じた」と言えば通る、との安心感もある。
359 :
候補者(神奈川県):2008/01/06(日) 15:09:53.73 ID:GhhyNiDc0
小泉内閣の時に、それまで2割だった勤労者健保の自己負担が3割に値上
げされた。実質的には1.5倍で、従来、それほど大幅に公共料金が上がっ
た事はない。ところが、驚いた事に、すぐに「自己負担増加やむなし」の社
説が出た。重要な政策の発表時には省庁が社説を担当する論説委員にもあら
かじめ説明し、理解を求めているからだ。こうして流れが一度作られると、
医療現場の声などは載る余地がない。
今日の医療危機の原因は、多くの医師や研究者が指摘するように、国の低
医療費政策の蓄積の結果だろう。
医療は、保険制度を運営する厚生労働省、医師を養成する大学を管轄する
文部科学省、予算を配分する財務省が仕切る。80年代以降、国は一貫して、
「医療費はムダな出費」と考えてきたようだ。医療費は、国民の長寿・高齢
化、医療技術の発展、患者QOLの要望などで、放っておいても自然に増える。
それにもかかわらず、国の基本政策は医療費の伸び、さらに医療費そのもの
の抑制、国の費用節約のための自己負担増加、補助基準の見直し策、だった。
360 :
候補者(神奈川県):2008/01/06(日) 15:11:49.77 ID:GhhyNiDc0
医師で医療経済学者の二木立・日本福祉大学教授は94年に「『世界一』
の医療費抑制策を見直す時期」を出版した。同所によれば、80年から93
年の間に人件費は43%、消費者物価は30%上昇したのに、医療費は5%
しか上昇していない。「これほど長期間の医療費凍結は世界でも例がない」
と二木教授は警告した。医療費の半分は人件費だ。この政策の必然の結果は、
医師や看護師の労働強化につながった。
医療界の反応は当時はほとんどなかったというが、現場の医療関係者は良
心的だ。病院や患者の要望に出来る限り応えようとして、他の業界では信じ
られない程の長時間勤務に耐えた。医師は32時間とか36時間勤務を当然
と思いこんでいたフシがある。医療界は出身医局中心の封建構造で、先輩が
口を揃えて「おれたちもやってきた」と言われると、そんなものかな、と納
得する。1人の医師がやめると周囲は必死にその分をカバーしようとする。
そうした努力が過酷な労働をさらに過酷にした。
医療危機のもう一つの大きな要素は、医師の気持ちの問題だ。患者の医師
不信が強くなり、医師・患者関係の悪化が医師のやる気を失わせ、プッツン
と切れる。
361 :
候補者(神奈川県):2008/01/06(日) 15:12:12.05 ID:GhhyNiDc0
米国から20年遅れ、80年代から医療事故がマスコミに取り上げられる
ようになった。かつては医療の内容は医療関係者の外に漏れる事はなく、た
とえ明らかなミスで患者が亡くなっても訴訟になったりする事はなかった。
医師もそうした状況に慣れ、初めての手術を無造作に行ったり、人体実験的
な手術で患者を死なせたりした。少数ながらひどい医師がいた事も事実だ。
80年代の医療事故は取材が困難だった。ずらりと並んで頭を下げる今の
光景からは想像もつかないが、病院の幹部はもちろん、医師や看護婦も口を
閉ざし、患者の家族の訴えを確認出来ず、記事に出来なかった事も多かった。
しかし、医療界にも事故を減らしていく必要性を認める医師も少しずつ増え、
そうした医師の強力を得て、医療事故や医療訴訟記事も増えてきた。
医療事故、さらに「患者の権利運動」などの報道が医師・患者関係を壊す、
と私は考えた事はなかった。しかし、時間が経過し、患者側の意識が進むに
つれ、徐々に医師・患者関係が壊れてきたことは認めざるを得ない。病院ラ
ンキングなども医療の質を向上させる重要な手段だと思うが、ごく少数の腕
の立つ医師が尊敬される代わり、大多数の普通の医師が軽視され、全体とし
ては軽んじられるようになった可能性もある。結果的に医師よりも患者の方
が強くなった。「一生懸命に医療をやっても、今は感謝する患者は少なく、
ささいな点にクレームをつける患者が増えた。このような状況で長時間労働
をするなんてバカバカしい」と何人もの医師から本音を聞いた。
362 :
候補者(神奈川県):2008/01/06(日) 15:12:28.20 ID:GhhyNiDc0
医療現場では今でも患者の不満は強い。医師不足で十分な時間もないのに、
1人の患者に何時間も説明を求められる。本当は国の制度、規制から起きて
いる問題も、患者は目の前の医師に不満をぶつける。マスコミは医師より患
者の立場に近いから、そうした声に引きずられやすかった面もある。医師は
ますます嫌気をさす、というような流れも確かに理解出来る。
医療の仕組みがこんなに医師に冷たくなったには医療界にも大きな責任が
ある。マスコミから見ると、医療界ほど声を上げず、説明の下手な業界も珍
しい。
現在の医療制度には非常に不合理な事が多い。たとえば、診療報酬は全国
共通の統制価格で、医療の収支のほとんどを決める。ところが、出費に見合
っていない赤字の診療報酬がたくさんある。日本医師会などを通じて厚生労
働省に要望してもそうした項目はあまりに多すぎ、順番待ちで何年もかかる。
363 :
候補者(神奈川県):2008/01/06(日) 15:12:49.91 ID:GhhyNiDc0
病院はほとんどが医師の素人経営である事も事実だが、旧国立病院の7,
8割が赤字経営になるのは、基本的に診療報酬点数が低すぎるからだ。厚生
労働省自身が経営を工夫しても赤字が出て、税金で補填しなければならない
のに、同じようにしていたら一般の病院が黒字になるはずがない。
しかし、病院や医療界は面と向かって厚生労働省に文句を言いにくい。保
健医療は完全に規制でがんじがらめの制度だ。厚生労働省の不快を買えば、
「江戸・長崎」が怖い。ここはひとまず従順に、の対応が、かえって病院が
軽んじられる原因になっている。
私は皮肉って何度もしゃべったり、書いたりしたが、例えば4月1日から
の新しい診療報酬点数を3月半ばに発表するのはあまりにも非常識で、医療
以外の分野では考えられない。厚生労働省は、わざと、急がないと間に合わ
ないギリギリの時点で発表し、医師に中身を考えさせず、不満や反対意見を
封じているように見える。
364 :
候補者(神奈川県):2008/01/06(日) 15:13:06.13 ID:GhhyNiDc0
今日の医療危機はなぜ起きたのか。一番の大本を言えば、医療制度が病院
(勤務医)を無視し、少数の官僚の思いつきで運営されてきたからではないだ
ろうか。医療界の代表として審議会や委員会に関わっている医師は開業医か、
臨床現場にうとい大学教授が多い。考え方も官僚に近い。患者代表も体裁を
整える程度だ。マスコミはそれを医療界全体が賛成したと受け止めて報道す
る。病院は厚生労働省には抗議はするかもしれないが、マスコミへの働きか
けは少なく、患者や国民レベルには声が届かない。
これほどの危機に至ったのだから、医療界は従順な態度をやめ、国にはっ
きり主張した方がいい。また、意見を広く国民に知ってもらうために、もっ
と記者会見をし、記者クラブに積極的に働きかける必要がある。「マスコミ
の人はなかなか理解してくれない」と、こぼす気短な医師や病院が多い。こ
れは当然で、マスコミの主流である若い記者はほとんど医療の仕組みも中身
もわかっていない。しかし、官僚は時間をかけ、努力して国の主張をわから
せ、その結果、思い通りの記事を書かせている。病院側も、病院の立場を多
少とも理解出来る記者を地道に増やさなければならない。いつか、誰かが気
づいてくれる事をあてにするより、積極的に働きかける必要がある。
365 :
中二(香川県):2008/01/06(日) 15:13:17.93 ID:XjsXxeow0
さすがに長すぎるぞwよめねぇw
ID:1blNuz4I0
お医者様って過酷だな
367 :
候補者(神奈川県):2008/01/06(日) 15:13:34.22 ID:GhhyNiDc0
私は医療専門記者として、これまでさまざまな記事を書いてきた。医療危
機、崩壊に関しては完全に病院側である。しかし、医療を病院の持ち物、と
思っているわけではない。基本的に、医療は国民のためのもので、私たちマ
スコミの立場はそれしかないと考えている。実際に医療を担う医師たちが疲
弊し、病院が無くなれば、困るのは国民・患者なのだ。しかし、質を無視し
た事故だらけの病院でも、金儲け本位の病院でも、あった方がいい、という
事は出来ない。「医療は誰のため、何のため」という大原則が成立していな
ければ意味がないからだ。
先日、奈良県で前年に続いて妊婦の搬送遅れによる死亡事件があり、話題
になった。救急医療は医療の基本であるにも関わらず、日本の医療界ではず
っと軽視されてきた。患者の不満や不安は救急体制の不備からも高まってい
る。何兆円という無駄な医療をしながら、全都道府県にドクターヘリを配備
する100億円が捻出出来ない日本とは一体何なのか、と考え込んでしまう。
(「綜合臨床」“特集・日本の医療制度を考える”p3241〜3244)より。長々スイマセン