米倉さん率いる放○研、ついに関与を解明
アスベスト暴露による中皮腫発がん経路の一部を解明
フェリチンH鎖タンパク質が関与
【概要】
独立行政法人 放射線医学総合研究所 (理事長 : 米倉 義晴、以下、放医研) 分子イメージング研究センター 分子病態イメージング研究グループの長谷川 純崇研究員、
Winn Aung研究員らは、アスベスト暴露の量と時間に依存してフェリチンH鎖タンパク質*1が発現誘導され、がんの発生に関与していることを解明しました。
中皮腫発がんの主な原因であるアスベストについては、大きな社会問題となっています。こうした中、放医研では分子イメージング研究の一環として悪性中皮腫*2の早期診断法の開発に繋がる研究に取組んでいます。
今回、長谷川、Aungらはアスベスト暴露によって発現誘導されるフェリチンH鎖タンパク質に着目し、同タンパク質がヒトの中皮腫細胞形成にどのような機能を果たしているかについて、さまざまな実験によって検証しました。
この結果、フェリチンH鎖タンパク質が、生体の正常機能であるアポトーシス*3 (細胞死) を阻害し、細胞のがん化を促進する可能性があること、またがん化した中皮腫細胞で過剰発現していることを見出しました。
今後、フェリチンH鎖タンパク質や、このタンパク質が鉄代謝に深く関与していることから、鉄 (Fe) の代謝経路を分子標的とした分子イメージング研究*4を進捗させることにより、悪性中皮腫の早期診断法に繋がることが期待されます。
http://www.nirs.go.jp/news/press/2007/10_30.shtml