【中日新聞】盧溝橋事件から七十年。日本は歴史を直視しないといけないんじゃないかな
七日は日中戦争が本格化した盧溝橋事件から七十年。両国は歴史が残したとげを克服していない。
歴史認識が日中外交の中心問題になったのは戦争の過酷さを考えると意外に遅く、実は一九九〇年代に入ってからだった。
共産党政権は戦後長く歴史認識を外交問題にしなかった。米国との対決を強めた時代、中国は「日本人民」の支持を必要とした。
旧ソ連との関係が悪化すると、日米を引き付けるのに必死で、過去など問題にする余裕はなかったろう。
民主化運動を武力で鎮圧した天安門事件(八九年)で社会主義の輝きは色あせた。
中国が愛国主義を鼓舞し求心力を取り戻そうとしたとき、反日感情は息を吹き返し「歴史」が外交問題になったのではないか。
「日本には永久に歴史問題を言い続けよ」と強調する江沢民政権に対し、小泉純一郎前首相は靖国参拝で対抗。
靖国をめぐる、いがみ合いは国民感情の悪化につながり激しい反日デモを招いた。
両国の各界がこうした反省を共有する必要があるのではないか。
日本側は歴史を直視し、中国は歴史を政治問題化しない思慮深い態度こそ、日中戦争以来の禍根を乗り越えることにつながるだろう。
中日新聞:「盧溝橋」70年 「歴史」のとげ克服を:
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2007070702030263.htmlより抜粋 ■参考コメント
・1979年の中越戦争に対して江沢民主席が謝罪を拒否したときのコメント
「もっと、未来志向にならなくてはならない。」
・朝鮮戦争に対して駐韓中国大使・張庭延が謝罪を拒否したときのコメント
「そんなことはあるはずがないし、これからも絶対に遺憾の意を表明する必要はない」