「中国の環境汚染で毎年75万人が早死に」 中国政府が世界銀行の報告書から削除させる
中国の環境汚染に関する世界銀行の報告書について、中国政府が記述の3割近くを削除させて
いたことが分かった。環境汚染が原因でいかに大勢が早死にしているか明らかになると、
「社会が動揺する」からというのが理由という。
世界銀行が中国政府と共同で数年かけてまとめた調査報告によると、中国の大都市部を中心に、
毎年75万人が環境汚染のせいで早期死亡していることが判明。原因は主に、大気汚染だという。
世銀関係者や中国政府関係者によると、この報告書の草案が完成した昨年末、中国の国家環境
保護総局(SEPA)と衛生部が世銀に対し、75万人が早期死亡しているという記述の削除を求めた。
世銀調査チームの顧問らによると、中国政府は、環境汚染によって75万人が早死にしている
という情報と、国内のどこで早期死亡が多発しているかを具体的に示す地図は、情報としてデリケート
すぎるという理由から、削除を要請してきたという。
(中略)
内容を削られた世銀報告「中国環境汚染のコスト(Cost of Pollution in China)」はまだ正式発表
されていない。しかしインターネットでダウンロードできる抜粋版は3月に北京で開催された「持続可能な
発展」をめぐる国際会議で公表された。
この抜粋版からは、中国都市部の大気汚染によって毎年35万〜40万人が早死にしているという
調査結果が削除されている。さらに、屋内の汚れた空気が原因で毎年30万人が早死にしていると
調査担当者らは言う。しかしこの件については、調査を委託した中国政府の目的から外れているため、
内容についての議論はほとんど報告書に含まれていない。
これに加えて、水質汚染が原因とみられる早期死亡は6万人に上るという。このほとんどは農村部で、
劣悪な水質による激しい下痢や、胃・肝臓・ぼうこうなどのガンで死亡しているケースが多いという。
(抜粋)
http://news.goo.ne.jp/article/ft/world/ft-20070705-01.html