先週、取材の帰りに県南のホタルの名所に立ち寄りました。
たくさんのホタルが水辺で優しい光を放っていましたが、光を放つのはホタルだけではありませんでした。
車道が川と並行しているため、午後八時を回っても車が頻繁に行き交う
見学者の車の出入りがひっきりなしです。
私は、他の見学者にならい、車道脇のスペースに車を止めたのですが、
川沿いに立って暗闇に少し目が慣れたころ、後悔の念に襲われました。「車は遠くに止めて歩いてくれば良かった」と。
人間だって、暗闇でいきなり車のライトを浴びると、目が痛いくらいにまぶしいのです。
ホタルがまともにこんな光を浴びたらどうなるか…。私は、軽率に放ってしまった自分の「光害」に恥じ入りました。
ホタルに詳しい方に尋ねると、実際、ヘッドライトなどの人工照明が
ホタルの生殖活動を阻害する問題は全国で議論されており、
ホタルの保護には光害対策が欠かせなくなっているそうです。
前述の名所でも、川沿いのガードレールには遮光ネットを掛け、水辺の草むらあたりの暗闇は保たれています。
でも、ホタルはもっと自由に飛びたいはずです。昨年、井原市美星町の深い闇の中で見たホタルは川の上空を高く、
優雅に飛んでいましたから。同町は全国で初めて光害防止条例を制定し、
星空を守り、夜の暗闇を守り続けている町でもあります。
各地でホタル祭りが盛んです。見学に行かれる方は、くれぐれも自分の光害は最小限にとどめ、
ホタルの光を楽しんでいただきたいと思います。(編集委員・清水玲子)
http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2007/06/15/2007061508164688003.html