【鹿児島】
梅雨入りしたにもかかわらず、晴れが続く県本土。「日本の滝100選」の加治木町の龍門滝では乾いた岩肌がむき出しになり、
1本の水の筋がやっと見える程度。上流の網掛川では農業用水の確保が難しいほどに水量が減り、農家が頭を抱えている。
毎週末、龍門滝に散歩に来るという教員古川英敬さん(50)(加治木町新富町)によると、
滝の異変は5月下旬ごろから表れていた。「滝の下の川の水位も下がって、普段は表面しか見えない川の中の石も、
側面まで見えているでしょう」と古川さん。滝のそばでそうめん流しなどの飲食店を経営する吉村哲也さん(51)は、
乾いた岩肌しか見えない滝を見た客から「どうしたの」と聞かれる毎日。
繁忙期の夏を前に「滝とそうめんで『涼』を感じようと訪れる客のためにも、早く元に戻ってほしい」と願っていた。
滝から上流に約15キロ網掛川を上ると、川沿いの水田で白く乾いた場所が目立った。
霧島市溝辺町竹子の農業蔵園幸夫さん(77)は、例年なら6月上旬に田の水入れを終わらせ、
同月中旬には田植えをしている。しかし、今年は水入れはまだ。「雨が降らんと、田植えどころか水入れさえできないね」
「これじゃあ、子どもたちに田植えはさせられない」と、近くの竹子小横の水田で会社員西野博文さん(36)がつぶやいた。
同小は毎年6月、田植えの授業を行う。その準備に水を引こうと来たが、田に続く白く乾いた用水路を見て、1週間延期することに。
「子どもたちの残念な顔を見るのはつらいですね」。晴れ上がった空を見上げていた。
鹿児島地方気象台によると、14日ごろまでは恵みの雨は期待できないそうにない気象状況という。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/local/046/046_070610.htm わずかに水が落ちている龍門滝(9日午後)
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