【愛知】家を建てたら“便所開き” 稲沢市の風習
古くからの農村集落の風景が存続している稲沢市の南部を中心に、家を新築するとトイレでお茶を
飲む風習があると聞いた。新聞を読んだり、考え事をしたりという話はあるが、なぜお茶なのか。
頭をひねりながら、家を新築したお宅を訪ねてみた。
昨年十月に自宅を建て替えたという稲沢市井堀中郷町の園芸業河村三朗さん(76)方にお邪魔した。
まだまだ木の香りが漂う玄関で河村さんが出迎えてくれ、早速話を伺った。
「トイレでお茶を飲むというのは、この辺りに昔から伝わる“便所開き”と呼ばれる風習のこと」と河村さん。
近所の人や親しく付き合いのある方々を呼んで、真新しい家のトイレで一人ずつ順番に抹茶とお菓子を
振る舞うのが「便所開き」だという。新築した家の内覧会を兼ねて行うのだという。なぜトイレで、との疑問に、
河村さんは「お客をもてなす座敷は、家では格式の高い場所。トイレは格下だが、普段の生活では一日に
何度も利用する場所。同じ家にありながら、格下に甘んじる便所の神様に、今日から住まわしてもらいます、
とごあいさつする意味があるらしい」と説明してくれた。
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20070527/CK2007052702019495.html