衝突で18人死亡 パキスタン大統領、最大の政治危機
パキスタンのチョードリー最高裁長官の職務が差し止められ、各地でムシャラフ大統領に対する抗議デモが
続いている問題で、長官の支援グループと大統領支持派が12日、南部カラチで衝突し、AP通信によると銃撃などに
より少なくとも18人が死亡、70人以上が負傷した。この問題をめぐり死者が出たのは今回が初めてで、同大統領は
1999年にクーデターで実権を握って以来、最大の政治的危機に直面している。
現地からの報道によると、チョードリー長官は同日、カラチにある高裁で演説を行う予定になっており、カラチ空港に
到着した。しかし、長官が市内に入るのを阻止するため、トラックなどでバリケードが築かれ、道路が封鎖された。
市内では未明に野党支持者2人が何者かに射殺されたのをはじめ、大統領寄りのムータヒダ民族運動(MQM)の
支持者がビルから、野党パキスタン人民党議会派やイスラム協会の支持者に銃弾を浴びせた。野党支持者は反撃し、
MQM幹部は、同党支持者4人が死亡したとしている。カラチ弁護士協会関係者によると、弁護士数十人が、MQMの
支持者に殴られるなどして負傷した。
また市内の混乱を伝えていたカラチの民間テレビ局が放火され、窓ガラスなどが破壊された。
市内には治安部隊1万5000人が展開したが、混乱は収まらず、当局はチョードリー長官にヘリコプターで市内まで
輸送すると申し出たが長官は拒否し、あくまで陸路で市内入りするとしている。カラチ空港では少なくとも国内線3本が
運休になった。
これまでムシャラフ大統領に不利な司法判断を示してきたチョードリー長官の職務が今年3月9日に差し止められたのが
抗議運動の発端。大統領は11月の大統領任期満了後も陸軍参謀長を兼任したまま続投する意向だが、長官はその
合法性を問う姿勢を示しており、ムシャラフ大統領の意に沿わない判断を下すとみなされていた。
デモの主体は司法関係者らインテリ層。パキスタンの民主化が進まない現状に強い反発を示し、デモは異例の長期に
及んでいた。
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