【朝日新聞】 中国の海賊版・ニセ物 「ここは慎重でありたい」
知財提訴―対話路線も忘れずに
中国の知的財産権保護は不十分だとして、米国政府が世界貿易機関(WTO)に提訴した。
映画や音楽の海賊版DVDやCDが野放しになっており、米企業の被害が大きすぎるというのだ。
日本も被害者だ。映画や音楽の被害は少ないが、自動車や電気製品のニセ物が増え続けて
いる。欧州連合(EU)はニセのブランド品に手を焼いている。
こうした模倣品の取引額は年間65兆円にのぼると推計されている。中国が最大の製造基地で、
ここから世界中に流通しているという。日本の特許庁は、中国での日本企業の損失が9兆円を超
えるとみている。
WTOのルールでは、こうした模造品の製造や販売が大量に摘発されると、犯人に刑事罰を科す
ことになっている。しかし中国当局の法制度や取り締まり態勢は手ぬるく、効果があがっていない。
米国は日本やEUが提訴に加わり、対中包囲網を築くことを期待している。
日本としても放置しておけないのは当然だが、ここは慎重でありたい。提訴後に始まる米中の二
国間協議にオブザーバーとして参加し、日本の被害状況を詳しく説明する手もある。
というのも日本は、提訴という「伝家の宝刀」を抜くとみせながら解決を迫る米国とは違うやり方を
してきたからだ。中国に改善を要求しつつ、そのための対話と協力も惜しまない。いわば硬軟自在
の作戦である。
(以下はソースで)
http://www.asahi.com/paper/editorial20070416.html