保存精子で死後生殖、根津院長が公表…法整備の遅れを提起
病気で夫を亡くした西日本の30歳代(当時)の女性が、凍結保存していた亡夫の精子を使って
体外受精で妊娠し、2004年に出産していたことを、諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の
根津八紘(ねつ・やひろ)院長が11日、明らかにした。
凍結精子による死後生殖は、裁判で3例確認されているが、実施した医療機関が公表するのは初めて。
日本産科婦人科学会は14日の総会で、死後生殖の禁止も新たに会告(指針)に盛り込む方針で、
死後生殖をめぐる議論が活発化しそうだ。
根津院長によると、今回の死後生殖は、02年に女性と亡夫の母から申し出を受けたのがきっかけ。
亡夫は不妊治療の一環で精子を、別の医療機関に保存していたが、採取から間もなく病気で急逝した。
その精子を持ってきてもらい、妻の卵子と体外受精させた。その受精卵を女性の子宮に戻し、03年に妊娠、
翌04年に別の医療機関で1人の子供を出産した。子供の性別などの詳しい情報は明らかにされていない。
(中略)
根津院長は「『主人の子が欲しい』『後継ぎが欲しい』という、目の前にいる女性やしゅうとの希望を
かなえるのが医師の役目だ。学会の会告は内規に過ぎない」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070411it07.htm