勝負球は左横手からのスクリュー−。日系ブラジル人投手がマイナー契約で米大リーグのブルージェイズ入りした。
ジョー・マツモト、顔に遠かった道のりが刻まれた36歳。紆余(うよ)曲折を経て、最高峰の舞台への入り口に
たどり着いた。
サンパウロ生まれの日系3世。祖父母が北海道出身という。1996年から三菱重工名古屋とNKK福山に
計6年間在籍。プロからも誘いはあったが、「チームを離れた後に知らされた」。
母国へ戻ってクラブチームとブラジル代表でプレーを続けたが、生活に困った。昨年3月には収入を求めてヤマハへ。
だが、2週間で退部。「あいつはもう駄目だな」と、陰口も耳に入った。悩めるマツモトを救ったのは11歳下の妻マリアさん
だった。
「わたしは野球は素人。でもあきらめなかったわ」。米国の有力代理人にメールで売り込んだ。イタリア系の血を引く
若い妻の熱意が実り、入団テストの機会を得て、2人でフロリダへ。マリアさんは愛車を売り、結婚資金も崩した。
「彼女に出会わなかったら僕はここにいない」。夫は肝の据わった妻に感謝する。
オープン戦初登板は一死しか奪えず、1安打4四死球で2失点。マイナー行きを通告された。開幕は3Aか2Aが
濃厚だが「自信はある。ハートで投げるよ」。初のブラジル人大リーガーへ。二人三脚の挑戦が始まった。
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