収納率の低迷が続く国民健康保険料の滞納者対策として、厚生労働省は2007年度、NTTドコモの
「おサイフケータイ」など電子マネー機能の付いた携帯電話から保険料を納付するシステムの実証実験
を始める。「支払い方法の選択肢を広げることで、特に若い世代に効果が期待できる」としている。
併せて多重債務を抱える人に相談員が弁護士を紹介したり、無職の人に仕事を紹介したりするモデル
事業も10都道府県で実施、収納率アップを目指す。
携帯電話を使った実験は、NTTドコモやKDDI(au)などの協力を得て6月から東京都江東区で開始。
利用者は携帯電話の通信機能を使って、毎月の保険料を電子マネーの「Edy(エディ)」やJR東日本の
「モバイルSuica(スイカ)」から支払うか、携帯電話料金に保険料を上乗せして請求してもらう方式を
自由に選べる。実験は1―2年間の予定で、成果を検証して実用化を目指す。
一方相談事業は、多重債務がある滞納者に、都道府県の国民健康保険連合会から派遣された専門
の相談員が弁護士を紹介。金融業者からグレーゾーン金利の過払い分を取り戻せれば、保険料に充てる
仕組みだ。無職の人には就労や有償のボランティアなどを紹介し、賃金の中から保険料を納めてもらう。
モデル事業の実施自治体は07年度に募集する予定。
国民健康保険料の収納率は1990年ごろから低下が進み、04年度は90・09%と「90%割れ」の
瀬戸際に立たされた。積極的な強制徴収などで05年度は10年ぶりに0・06ポイント上昇したが、全世帯数
に占める滞納世帯の割合は二割近く、依然厳しい状況が続いている。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070308-OHT1T00114.htm