初乗り300円、却下申し入れへ
全新潟タクシー労組が運輸局に「競争過熱で長時間労働」
新潟市のタクシー大手「日の出交通」が初乗り運賃を300円に値下げする申請をしたのに反発し、
全新潟タクシー労働組合(31社、約1500人)などが19日、値下げを許可しないよう北陸信越運輸局に申し入れることになった。
組合側は「値下げは競争過熱を招き、運転手の負担が増して乗客の安全も脅かされる」と訴えている。
組合側によると、新潟市では初乗り運賃を610円とするタクシー会社が多いが、「太陽交通」「三和交通」「四葉タクシー」は
初乗り運賃を310〜540円と安く設定している。低料金タクシーは夜間の乗客に特に利用されやすく、
多くの会社が車両数を減らす中、太陽交通は02年1月末の21台から昨年末で76台へと大幅に増やしている。
日の出交通が申請したのは今年1月。100台近くを擁する同社の値下げが実現すれば、低料金を採用するタクシーは
新潟市近辺のタクシー会社25社の車両約1400台の2割に上る。組合側は体力勝負の値下げ合戦を懸念している。
昨年の新潟市近辺のタクシー運転手の平均月収は18万8083円。固定給がなく、売り上げの半分程度を運転手に
支払う完全歩合制の会社もある。運転手は一定の月収を確保するため、長時間勤務になりがちだという。
タクシー側に主な責任がある県内の人身交通事故は一昨年、179件起きた。1996年より3割増えていた。
「値下げが実現すれば、ボクシングで審判がいないのと同じ。運転手は生きるために長時間労働をし、
安全軽視の“戦国時代”となる」と、組合の五十嵐真也執行委員長は語気を強める。
19日には新潟市の弁天公園で抗議のデモ活動を行い、1万人分の署名を集めて運輸局に提出する予定だ。
YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/news002.htm