「『パチンコに行くなら私を殺してから行け』と言ったお母さんが本心からそう考えたと本当に
思ったのか。まじめに仕事してほしいという意味だと分かったはずだ」
平成18年9月、山武市森の山林に殺害した母親の死体を遺棄したとして殺人と死体遺棄の
罪に問われた茨城県鹿嶋市神野の無職、北下(ぼっけ)清次被告(59)の第2回公判が13日、
千葉地裁(根本渉裁判長)であり、検察側は「責任を母に押しつけ、死後も母に甘えている」と
懲役15年を求刑した。
北下被告は1月の初公判で、母のきよさん=当時(84)=に対する嘱託殺人を主張した。この日、
検察官から冒頭の言葉で問いただされると、耳を真っ赤にして口ごもり、「少し思った」と述べた。
初公判で明らかになった被告の母親への仕打ちはひたすらむごかった。
《母親の年金で遊んで暮らしていたのに注意されると逆上して暴行。寝たきり状態となった母を
放置した後、年金を自由に使いたいと考えて、口と鼻をふさいで窒息死させ、年金はパチンコに費やした》
妹や夫など近親者を手にかける犯行が後を絶たない。母を殺害し、なお嘱託殺人を主張する態度に
「これでは、きよさんは浮かばれまい」と怒りがこみ上げた。
被告は犯行理由について「弱った母はこれ以上生きていても辛いと思った」と答えたが、裁判長に
「本当はあなたが辛かったのでは」と問われると、長い沈黙の後「そうですね」とうなずいた。
贖罪(しょくざい)の心を持ってほしい。心からそう思った。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/39378