中国「衛星破壊は平和目的」
【北京=新貝憲弘】人民日報系の「環球時報」は十九日付の一面トップで、中国が弾道ミサイルで気象衛星
を破壊する実験を行ったとする米航空専門誌「エビエーション・ウイーク・アンド・スペース・テクノロジー」
の内容を紹介。そのなかで中国軍事科学院戦略研究部の彭光謙少将は「中国の宇宙探索はすべて平和目的で
報道自体に疑問がある。米国は神経質で、中国が大気圏外で行う活動に対するこうした推測は根拠がない」と述べた。
二〇〇三年と〇五年に有人宇宙船「神舟」の打ち上げを成功させた中国は、宇宙技術を急速に向上させている。
欧米側には、こうした技術を軍事転用するのではとの懸念が強まっている。中国は今後もミサイルやロケットの
性能向上に力を入れる方針を示しているが、開発費用など不透明な部分も多い。
昨年十月に公表した宇宙白書で中国は、五年以内に世界トップクラスの搭載能力がある新型ロケットを開発
する目標を明記。また昨年末の国防白書では戦略ミサイル部隊「第二砲兵部隊」の拡充に努めていることを
明らかにしている。
その一方で宇宙事業の目的として「科学技術の発展」と「平和利用」を強調し、欧米側の懸念を取り除こうとしている。
■政府の「懸念」に中国「十分留意」
塩崎恭久官房長官は十九日午前の記者会見で、中国の衛星破壊実験について「宇宙の平和利用、安全保障上
の観点から当然、懸念を持っているところだ」と表明した。一方、麻生太郎外相が記者会見で明らかにした
ところによると、日本政府が事実関係と実験意図の説明を中国政府に要求したのに対し、中国側は「日本の
通報を理解し、十分に留意する。宇宙の平和利用は一貫している」と回答した。
日本側は「事前の通報がなく、破片も飛ぶ。平和利用としてはいかがなものか」と懸念を伝えた。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20070119/eve_____kok_____001.shtml