沖縄県の米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設問題で、
日米両政府が合意したV字形滑走路建設案に反対している仲井真弘多(ひろかず)知事が、
滑走路を1本にして海側へずらすことが望ましいとの意向を示していることがわかった。
久間防衛長官は県との合意形成を目指し政府案修正の検討を事務当局に指示しており、
知事はその結果などを見極めて容認の可否を判断する。
仲井真知事は県選出の自民党国会議員らに、「滑走路を2本造るのは非効率的。集落などへの影響を避けるため、
施設を海側へずらして1本にするのが望ましい」との考えを伝えている。
沿岸案は、シュワブの兵舎部分と一部埋め立て地に代替施設を建設する計画で、
海側へずらす場合はリーフ(環礁)内を埋め立てる。在日米軍再編協議で当初、米側が主張した「浅瀬案」に近いものになるとみられる。
名護市は米軍機が集落上空を飛行しない経路が設定されたことからV字案を受け入れたが、
滑走路の長さ(1800メートル)を300メートル短縮するよう政府に求めている。
一方で同市には、住宅地への騒音を軽減するため浅瀬案を支持する声も根強い。
仲井真知事は「名護市の意向を重視する」としており、地元が了承する案であれば容認する考えを示している。
普天間移設を巡っては、1996年の沖縄施設・区域特別行動委員会(SACO)最終報告に基づき、
同市辺野古沖に代替施設を建設する計画が進められたが、反基地団体が海上にボートを繰り出すなどして作業を阻止したため頓挫した。
このため、防衛庁は米軍再編協議で、反対運動と、ジュゴンの餌場となる藻場など環境への影響を避けるため、
海上計画には反対。反対派が入れない米軍基地内を移設先にしたシュワブ沿岸案に決まった。
日米で合意した沿岸案を修正することについては防衛庁内に異論があるうえ、米側も否定的な姿勢を示しており、
実現するかは不透明だ。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_06123002.htm