中国・貴州省の約5億1000万〜5億年前(古生代カンブリア紀)の地層から、ガラスや
オパールと同様の珪酸(けいさん)質に変化した卵化石が初めて見つかった。地中の
鉱物の作用で成分が変わったとみられる。
丸い形が完全に保存されているだけでなく、エックス線撮影で、細胞分裂した直後の
胚(はい)まで確認できた。珪化によって細部まで構造が守られたと推定される。
米オハイオ州立大や中国貴州大の研究チームが米地質学会誌12月号に発表した。
研究チームによると、卵は直径0・5〜0・9ミリほどで77個が確認された。珪酸分を
多く含む細粒の岩石に封じ込められていた。
当時は、魚類などの脊椎(せきつい)動物が出現する前で、ようやく原始的な無脊椎生物が
海の中で繁栄を始めたころ。この時期の生物は現在の生物と異なるものが多く、断定は
できないが、卵の大きさや胚の細胞分裂の様子から、ウニなどの仲間に似ているという。
大昔の樹木が周囲の火山灰層などに含まれる珪酸を取り込んでできた「珪化木」は、
世界中で知られているが、研究チームは、固い殻を持たない無脊椎動物の「珪化卵」は
例がないとしている。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20061225i405.htm