一家心中の義兄から届いた手紙根拠に「保険金支払いを」
一家心中した親類から受け取った手紙の内容を根拠に、福岡県柳川市の女性が
「自分が生命保険金の受取人だ」として朝日生命(東京)と第一生命(同)に
保険金支払いを求めた訴訟の控訴審判決が21日、福岡高裁であった。
西理裁判長は訴えを棄却した一審判決を変更し、
「手紙には心中した一家の意思が示されている」として
計3千万円の支払いを保険会社に命じた。
心中したのは、福岡県大牟田市の60代の夫婦と30代の息子の一家3人。
息子の借金で将来を悲観した3人は04年9月10日、
乗用車で同市内の港の岸壁から海に飛び込み死亡した。
翌11日、夫を差出人とする手紙が妻の妹に届き、
「息子の生命保険金で借金整理などの後始末をしてほしい」と書かれていた。
この女性は、手紙は心中した一家の意思表示で、保険金の受取人は自分だと主張。
これに対し、保険会社側は「受取人は契約時のまま夫。
故意に息子を死亡させた無理心中であり、支払い義務はない」と反論し、
一審の福岡地裁判決は保険会社側の主張を採用した。
高裁判決は、この手紙を「依頼文書」と位置づけ、心中は「一家3人の総意だった」と判断。
「借金返済や永代供養料として、女性に保険金を受け取らせるという
3人の意思が明確に示されており、可能な限り酌んでしかるべきだ」と結論づけた。
http://www.asahi.com/national/update/1222/SEB200612220001.html