ノンフィクション作家のロバート・ホワイティングさんが戦後裏社会の歴史を描いた
「東京アウトサイダーズ」に掲載された米国人男性のスナップ写真を巡り、
撮影当時の男性の妻が同書の販売差し止めなどを求めた訴訟の判決が21日、
東京地裁であった。設楽隆一裁判長は「構図などに創作性がある」と著作権侵害を
認め、発行元の角川書店に写真部分の廃棄と販売の差し止めを命じた。
「写真はプライベートに撮影されたもの」として公表権の侵害なども認め、
ホワイティングさんと角川書店に慰謝料など計45万円の支払いも命じた。
判決や角川書店の説明によると、男性は「元CIA職員の東京のナイトクラブ店主」
として取り上げられた。写真は子供を抱いている姿で、当時の妻が70年ごろに撮影。
男性の友人からホワイティングさんが入手。子供を除いた上半身が背景とともに掲載されている。
被告側は「写真掲載は風貌(ふうぼう)を読者に伝えるためで、著作物として
鑑賞させる目的はない」と主張したが、判決は「風貌を示すための利用は
著作物としての利用にほかならない」と退けた。
「東京アウトサイダーズ」はベストセラーとなった「東京アンダーワールド」の続編。
単行本と文庫本が刊行された。
http://www.asahi.com/national/update/1221/TKY200612210349.html