国内の感染 最悪ペース
日本のHIV感染者・患者の数は米国などに比べ、まだ少ないが、二年連続で年間千人超という
過去最悪のペースで増え続けており、厚生労働省は「感染者の爆発的な増加につながりかねない状況だ」
と警戒している。
同省エイズ動向委員会によると、二○○五年に新たに報告された国内の感染者・患者の合計は千百九十九人。
毎日三人余りが新たに感染あるいは発病している計算だ。
日本の特徴は、エイズの症状が出て初めて感染が分かる例が後を絶たないことだ。
一九九○年代後半に、現在治療法の主流となっている多剤併用療法が開発され、早い段階で服用を
始めればエイズの発症を抑えられるようになった。
その結果欧米では新規患者の発生が減少に転じたが、日本ではこの傾向が見られず、
診断時に既にエイズを発症している人が、新規患者・感染者の約三割を占める。
先進国でありながら「感染者が治療法の進歩の恩恵を十分受けられていない」(厚労省)ことを示している。
比較的若い世代での感染拡大も、専門家の大きな懸念だ。過去五年ほどの新規感染者の
35%程度が二十代以下で、三十代が約40%。性交渉による感染が感染経路のほとんどを占める。
最近の各種調査で、性交渉の低年齢化も目立っている。
若者のHIV診療に関心が深い佐藤武幸・千葉大助教授は「エイズや性感染症に関するメッセージは
若者に十分届いていない。本格的な対策が必要だ」と危機感を募らせている。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20061203&j=0045&k=200612030214