国内で廃棄された年間100万台を超す使用済みパチンコ台が
香港に中古品などと偽って輸出され、リサイクル処理不備のため
転売先の中国で健康被害を引き起こしていたことが25日、分かった。
使用済みパチンコ台の大半は規制が緩い、再利用可能な「中古品」として輸出され、
有害廃棄物の越境移動を規制するバーゼル法に抵触の恐れもあり、
環境省と香港政府は対策協議を始めた。
パチンコ台の製造メーカーでつくる「日本遊技機工業組合」などによると、
国内で廃棄される使用済みパチンコ台は年間約300万台。
このうち国内のリサイクル業者が処理しているのは150万−200万台にとどまり、
残りが香港に輸出されているとみられている。
輸出されているパチンコ台は日本国内で液晶が抜き取られ、再使用はできない。
香港の業者が解体して金属やプラスチック、電子基板などの素材別に
中国の業者に転売している。
広東省などでは電子基板から電子部品などを取り外すリサイクル処理の過程で、
有害物質が大気中などに放出され、周辺住民らは鉛中毒などの深刻な健康被害を
受けている。
バーゼル法は、鉛などの有害廃棄物を輸出する場合は、受け入れ国側が環境を
汚染しないで処理できるかなどを環境相が事前に確認することを規定しているが、
「廃パチンコ台の輸出は確認手続きが不要な中古品を装ったケースが増えている」
(環境省)という。
このため、同省は輸出業者に資料を提出させて事前審査を強化することや、
香港政府と共同で作成中の中古品と廃棄物を区別するガイドラインに
パチンコ台も盛り込むことなどを検討する。
宮崎日日新聞 2006年(平成18年)11月25日
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