コメ産地偽装 「新潟産特選米」実は「くず米」
米卸売会社「日本ライス」(大阪府東大阪市)による産地・銘柄偽装事件で、同社が通常は
主食用にならず品質の悪い「くず米」に取り扱っている自社米を少量混ぜて、「新潟産特選米」
などと書かれた袋に詰め替えて大量に販売していたことが18日、関係者の話でわかった。
同社の精米工場で勤務経験のある元従業員が、産経新聞の取材に「本当なら人間が食べない
まずいコメを、社長の指示通りに作ってしまった」と証言。府警も偽装の具体的方法などに
ついて解明を急いでいる。
元従業員によると、偽装に使われたくず米は、粒が小さく選別機でふるい落とされたコメ。
通常は菓子や酒などの加工品や、家畜、鳥の餌などに使われる。炊いても硬く、見た目も
味も主食用には適さないとされる。
元従業員らは、白米の状態で1トン入りの袋に詰められて精米工場に入荷したくず米を、
パッカーと呼ばれる袋詰め機械にそのまま投入し、小売り用の袋に詰め替えて出荷して
いたという。
使われた袋は数種類あり、新潟産特選米という袋には、日本農林規格(JAS)法に基づく
表示部分に「新潟県産100%」などと記載されていた。元従業員はくず米について「関東で
収穫、精米されたものと聞いていたが、産地や銘柄は全く分からなかった」と話している。
詰め替えの工程では見栄えを良くするため、自社工場で精米した通常のコメも少量混ぜていたが、
入荷時期によってくず米の品質が極端に落ちるため、販売先から「色つやが悪い」「味が
おかしい」などと苦情がくることもあった。
くず米の仕入れ値は1キロ当たり130〜170円。これを新潟産特選米として、1キロ当たり
200円前後で卸していたとみられる。少なくとも数年間にわたって市場に流れていたと
みられ、おもに京阪神で販売されたという。
社長は毎朝、経理担当者が計算した前日分の利益をもとに、偽装に使うコメの産地・銘柄を
工場に直接指示。利益が出ていないときには、偽装米の割合を増やしていたという。
元従業員は「社長は『それ相応の値段やから、しゃあない』とクレームを聞き流していた。
口癖のように『安いコメを混ぜて単価を落とせ』といわれた」と話す。
http://www.sankei.co.jp/news/061118/sha008.htm