日本テレビ創設にはCIAが関わっていた・・・

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1薄着のデザイナー

今週の本棚:養老孟司・評 『日本テレビとCIA…』=有馬哲夫・著
 ◇『日本テレビとCIA−−発掘された「正力ファイル」』
 (新潮社・1575円)
 ◇冷戦メディアとしてのテレビ開局

 日本テレビ創設の物語は、正力松太郎という一個人が、柴田秀利というなぜかアメリカの
要人たちと太いパイプを持っていた人物を使い、日本テレビという日本最初の民間テレビ放送会社を
創設した成功物語として語られてきた。日本テレビは、本放送こそNHKに半年ほど後れをとるものの、
昭和二十八(一九五三)年八月二十八日に東京でテレビ放送を開始した。そして
街頭テレビという工夫によって、順調に視聴者を獲得していく。著者はそう書く。
しかし、その背景に、なにがあったのか。

 著者はワシントンの国立公文書館で、「CIA文書正力松太郎ファイル」を見出す。そこには
「正力松太郎による日本へのテレビ導入にアメリカはどう関わっていたか」という著者の問い
に対する答えが明瞭(めいりょう)に示されていた。それが本書の主題になっている。

その答えとは、共産主義の軍事的脅威から日本を守る役割を果たす、日本を中心とする
北東アジアから中近東、欧州にいたる、マイクロ波多重通信網の設置をアメリカ側が
意図していたということだった。つまりそれは軍事的、戦略的、心理戦的であり、
元来の意図は現在のわれわれが当然として考える、娯楽としてのテレビのようなものではなく、
冷戦メディアだったのである。アメリカ側でこれに関わっていたのは、具体的にはCIA局員、
ジャパン・ロビー、元戦略情報局員たちだった。

こうした面から見れば、日本テレビ創設の物語とは、反共産主義と、アメリカによる戦後日本の
心理的再占領の成功物語だった。
もちろんマッカーサーに象徴される、具体的な占領が終わった時期だったからである。
【続きは省略】

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/gakugei/archive/news/2006/11/12/20061112ddm015070190000c.html