少年犯罪の実名報道紙・誌 図書館協会「原則公開」へ
未成年である犯罪容疑者の実名や顔写真が雑誌や新聞に掲載された場合、公共の図書館では
閲覧できるのかどうか。これまで各館の自主的な判断に委ねられてきた問題について、日本図書館協会の
委員会は「加害少年の推知報道については提供することを原則とする」という考え方をまとめた。
目立った異論は出ておらず、協会全体としての方針となる見込みという。
この方針は、協会の「図書館の自由委員会」の素案として、10月上旬に開かれた協会の常務理事会
で事実上の承認を得た。その後、27日に岡山市で開かれた第92回全国図書館大会の分科会でも
公表された。強制力は持たない。詳細は、機関誌「図書館雑誌」12月号で発表される予定だ。
少年法61条では、加害少年の氏名など、読者が本人だと推測できる記事の掲載を禁じている。
しかし、出版社系の週刊誌を中心に実名や顔写真を掲載する例はあり、少年の保護・更生と知る権利の
どちらを優越させるかが議論になっていた。
図書館の自由委員会はこの問題を約1年間、検討してきた。その結果、「重大な犯罪事件は社会的関心事だ」
として、考えるために読みたい市民へ資料を提供する機関としての意義を重視する考え方をまとめた。
今年8月に発生した山口・徳山工業高専女子学生殺害事件では、殺人容疑で指名手配されたあと自殺した
男子学生(19)の実名と顔写真を、週刊新潮と読売新聞、週刊朝日、週刊ポストが掲載し、一部の図書館は
閲覧を制限した。
この事件では、山口県警が10月31日、男子学生を殺人などの疑いで被疑者死亡のまま書類送検し、
一連の捜査を終えた。
http://www.asahi.com/national/update/1101/TKY200611010271.html