タコスの本場メキシコで、カップラーメンの人気が沸騰している。
駅や学校、コンビニなど街の隅々でめんをすする人の姿が見られ、新聞や雑誌が次々に特集を組むほどだ。
しかし、伝統的な食材の豆やトルティージャの消費量は急降下しており、「伝統食を守れ」と警戒する声も出始めている
値段は、店頭でお湯を注いで食べると8ペソ(84円)。庶民が街角の安い屋台でお昼に食べるタコス三つ分と、
ほぼ同額だ。スーパーで買うと1個4ペソ(42円)。月収2000ペソ(約2万円)のウエートレス、
マルティネスさん(18)も「安い」という値段だ。
北米では米カリフォルニア州南部に70年代に進出した即席めんの日系企業が市場を激しく争ってきたが、
メキシコでは「マルちゃん」が最も多い。市場の8割を独占し、カップめんの代名詞にもなっている。
東洋水産の米子会社マルチャンインクの深川清司社長によると、メキシコで人気が出たのは80年代から。
「米国に出稼ぎにきたメキシコ移民が故郷に帰る際に持ち帰り、親類や友人にお土産として配って広がった」という。
89年末から本格的な輸出を始め、メキシコの昨年の消費量は8年前の10倍の約10億食。
アジア諸国や米、ロシア、ブラジルに次ぐ世界11位だ。
こうしたカップめんの大攻勢の陰で警戒感を強めているのは、伝統的な食材の関係者だ。
業界団体などによると、メキシコ料理に欠かせない豆の1人当たり消費量は10年間で半減して約9キロに。
トウモロコシも3割減だ。地元紙は「特に35歳以下の世代が昔の世代ほど豆を食べなくなっている」と警鐘を鳴らす。
http://www.asahi.com/international/update/0930/001.html