与謝野馨経済財政担当相は15日午前、9月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。
企業の設備投資意欲の好調さを背景に「景気は回復している」との基調判断は維持した。
ただ、個人消費を「緩やかに増加」から「このところ伸びが鈍化」に下方修正し、
輸出についても「緩やかに増加」から「横ばい」に下げ、個別項目では回復ペースの減速を確認した。
原油高騰、米国経済の減速など海外要因でデフレに後戻りする懸念は残っているとして「デフレ脱却宣言」は見送った。
だが、デフレ脱却が近づいているため、政策目標の表現を、「06年度内にデフレからの脱却を確実なものとする」から「物価の安定基調を確実なものとする」に変え、
月例経済報告から約5年半ぶりに「デフレ」の文字が完全に消えた。
個人消費は1年7カ月ぶりの下方修正。消費の総合的な動向を示す消費総合指数が6、7月に2カ月連続で減少し、
7月の家計調査での消費動向も弱含みだった。輸出は、米国向けを含め、全体として伸びが鈍化し、
3カ月ぶりに下方修正した。このほか、住宅建設は7カ月ぶり、輸入は2カ月ぶりに、それぞれ下方修正した。
先行きの見通しは「民需に支えられた景気回復が続く」との判断を維持した。ただ、企業部門も、
設備投資の先行指標である機械受注が7月に前月比で過去最大の下げ幅となるなど、先行きに減速の懸念が出ている。
消費者物価は「前年比では上昇しているが、石油製品、その他の特殊要因を除くとゼロ近くで推移」とした。
内閣府は「06年4〜6月期の法人企業統計で企業部門の堅調さが確認され、国内要因によるデフレへの後戻りリスクはほぼなくなった」と判断し、
デフレ脱却に向けた認識を一歩前進させた。
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/seisaku/news/20060915k0000e020025000c.html