「消費税の増税はしてほしくない。でも、国の借金は何百兆円もあるというし、増税なしでは返せないのでは」
という意見があります。どう考えたらいいのでしょうか。
大借金国
たしかに、政府の借金がたいへんな大きさになっていることは事実です。来年三月時点で、国と地方をあわせた
長期債務残高は七百五十兆円に達する見込みです。これは国内総生産(GDP)の一・五年分に当たります。
欧米の主要国の債務残高は、イタリアを除けば〇・五―〇・八年分の範囲であり、日本のような大きな借金を抱えた国は
ありません。だからといって、「増税やむなし」というのは、短絡的な議論です。
そもそも、こうした巨額の借金を生み出したのは、自民党政府が進めてきた悪政の結果であり、国民のせいではありません。
「財政がたいへんだ」というなら、まず、そうした状況を生み出した原因と責任について、きちんと明らかにして反省すべきです。
それもなしに、正しい解決策は出てきません。「たいへんだから国民が増税を我慢してほしい」などというのは無責任のきわみです。
「増税をいう前に、歳出のムダを削れ」というのが、多くの国民の声です。ただし、「歳出削減」といっても中身が問題です。
政府も「歳出削減」といいますが、中身は社会保障など国民の暮らしの予算を削ることです。
歳出削減
小泉首相は「歳出削減を徹底していくと、もう増税の方がいいという議論になってくる」(六月二十二日、経済財政諮問会議)といっています。
社会保障などの予算を徹底して削減したうえに、増税も押しつけようというのです。
このような「暮らしの予算の削減」ではなく、大型公共事業や軍事費など、ほんとうにムダな予算にこそメスを入れるべきです。
そのうえで、財政の立て直しのために増税が必要な場合でも、「どこから税をとるのか」ということが問われます。
小泉内閣は、史上空前の利益を上げている大企業には大減税をしたままで、所得税・住民税の定率減税の廃止や高齢者への増税など、
庶民にばかり負担増を押しつけてきました。このうえ、消費税増税など、認めるわけにはいきません。(つづく)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-09-14/2006091408_01_0.html