イランの報道監視評議会は11日、改革派の有力紙「シャルグ」を閉鎖し、12日付から発行停止処分とする命令を出した。
国営イラン通信などが伝えた。保守派のアフマディネジャド大統領を皮肉った風刺画が処分の直接原因とみられる。
核問題で米欧との緊張が続くなか、今後、国内の報道統制が強まる懸念がある。
風刺画は、「ゲームの別のルール」と題され、チェス盤上で黒と白のナイト(馬)が向き合う様子を描くが、黒は、ほえるロバ。
米欧メディアは、ウラン濃縮活動停止をめぐり停滞する核交渉をチェスにたとえることが多く、
核問題で米欧に対し激しい言葉で対立する大統領を皮肉ったかのように解釈できる。
同評議会は声明で、「度重なる違反と修正の拒否」のほか、「最新号での侮辱的な風刺画」を処分の理由に挙げた。
97年から8年間にわたる改革派のハタミ前大統領時代は、規制緩和で多くの新聞が刊行された。00年ごろから保守派が巻き返し、
市民の自由拡大を唱える改革派系新聞が次々と閉鎖される逆境のなかでシャルグ紙は03年に創刊された。
現在約40紙ある新聞のなかで約10万部と発行部数も多い同紙は、核問題でも現実的な選択を掲げることが多く、
政治の表舞台から去った改革派の象徴的存在となっていた。
エルハム大統領報道官は8月、大統領の政策に批判的な国内報道機関を規制する方針を示していた。
http://www.asahi.com/international/update/0912/009.html