刑務所の過剰収容を解決するために刑期を短縮して受刑者の2割を出所させる法案が29日
イタリア国会で承認された。治安のマイナス面より、生活環境が劣化した受刑者の人権を優先するという判断だ。
法案は、受刑者のうちマフィア関係やテロ犯などを除き、刑期3年を減刑し約1万2000人を釈放するというもの。
レプブリカ紙によると、釈放対象の4割は密売や窃盗犯などの外国人という。
イタリアの刑務所は受刑者の増加で、全国で定員約4万3000人のところに、1.4倍に当たる約6万1000人が
収容されている。減刑は1990年に大規模なものが行われて以来なかったが、先代のローマ法王
ヨハネ・パウロ二世が2002年、イタリア国会で減刑を呼び掛けたのが呼び水になり、人権の見地から実施を求める声が
高まっていた。
上下院とも、成案に必要な3分の2を大きく上回る賛成票で可決したが、連立与党の中でも共産党系の一部が反対。
逆に野党は治安維持の面から反対が多い中、ベルルスコーニ前首相のフォルツァ・イタリアは賛成に回った。
釈放の対象に汚職が含まれていることに、政界疑惑摘発で名を挙げた元検事のディピエトロ建設相は
「国家の威厳を売り渡す行為だ」と猛反発した。
http://www.zakzak.co.jp/top/2006_07/t2006073107.html