父子二人三脚の闘いに幕 35歳の越本、引退を表明
左パンチを振り回してくるロペスの前に、越本は沈んだ。猛打を浴び続け、何度もロープを背負う。
そして7回2分49秒、レフェリーが2人の間に割って入った。TKO負け。35歳の日本人史上最年
長王者は試合後、「本日をもってプロボクサー越本隆志は引退します」と潔く宣言した。
ストップがかかった直後、越本はリング上であおむけに倒れて担架で救護室に運ばれた。ジムの会長
でもある父の英武さんによると、その間も意識はあったという。ただ越本自身は「試合は断片的にしか
覚えていない」。約15分後、救護室から自らの足で歩いて控室に戻ったが、「何で止められたのかと
思った。ストップがかかる前から(意識が)薄らいでいたかな」と完敗を認めた。
メキシコ人とは初対戦だったが、距離を保って手数を稼ぐ自分のスタイルは発揮できなかった。2回から
挑戦者ががむしゃらに前へ出てくると、さばききれない。「思った以上に自分が打てなかった。硬さもあった
し、後手に回った。余裕がなかった」と敗戦を冷静に受け止めた。
英武さんは、現役引退を表明した息子との救護室でのやりとりを明かした。「もういいやろか?」「いいよ」。
14年以上にわたるプロ生活を二人三脚で歩んできた2人に、それ以上の言葉は不要だった。
(了)
[ 共同通信社 2006年7月30日 18:24 ]
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/etc/20060730-00000044-kyodo_sp-spo.html