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足軽:
『砂漠の夢』
とうとうその町が世界一の商業の街へと発展したと聞き、導かれし者たちもさっそくそれを祝いにやって来た。
以前はただの砂漠だったこの土地が、今はどうだろう。立ち並ぶ店、店。
軒先には舶来の武具や薬類、アクセサリーが置かれ、商人たちの呼び声も活気にあふれている。
「よし、今日は自由行動にしよう。みんな買い物でもするといい」
勇者がそう言うと、まず女たちが歓声を上げながら駆けていった。クリフトは教会の方へゆき、勇者は防具屋の主人に声をかけている。
その様子を遠目に見ながら、ライアンはひげをふるわせて大きく息を吐いた。
これは思ってもいないチャンスではないか。今日こそ、今日こそ。トルネコ殿をデートに誘おう! 2人で町中を歩き、買い物をし、2人できれいなものを見て、2人でおいしいものを食べて。
勇気を出してライアンは顔を上げた。
「ト、トルネ……!」
しかしそこにはすでに1人も仲間たちの姿はなかった。
往来をたくさんの鎧を積んだ馬車や正義のそろばんを抱えた商人が行き来し、不思議そうにライアンを見た。
ライアンはせきばらいをすると、そそくさと歩き出した。
遅かったか。しかし、早くトルネコ殿を探してデートを申しこまねば、日が暮れてしまう。