ウルトラQに「未放送ストーリー」
円谷プロダクションの「ウルトラQ」シリーズがテレビ放映されてから今年で40年。
同シリーズの人気怪獣「カネゴン」が登場する回の草稿が見つかり、世田谷文学館
(世田谷区南烏山)で開催中の「不滅のヒーロー・ウルトラマン展」で展示されている。
書き直しを重ねて台本は完成するが、その前の「生原稿」が見つかるのは珍しいという。
放映された作品とは異なる「もう一つのストーリー」にもカネゴンの魅力が詰まっている。
草稿は、「カネゴンの繭」を監督した中川晴之助さん(75)の都内の自宅本棚で見つ
かった。この回の脚本を担当した山田正弘さん(故人)が原稿用紙に鉛筆で書いたもの
で、タイトルは「カネゴンの大冒険」となっている。
放映では、カネゴンに変身した少年は、警察官や銀行員らとすったもんだの末、人間
の姿に戻った。一方、草稿の中のカネゴンは落ちていた小銭を食べ、それが家出少年
の電車賃だったことを知り、「大いに困ってオロオロ」する。仲間の少年に腹の上に乗っても
らい、金をはき出そうと試みて「額からたらたらとあぶら汗」「大粒の涙がポロポロ」。
それでも「家に帰んなくちゃダメだってば」と家出少年を諭す。放映こそされなかったが、
思わず噴き出してしまうようなユニークな場面の連続だ。
警察に追われ、デパートに逃げ込んだカネゴン。屋上のアドバルーンにつかまり、空を
飛んで逃げる。アドバルーンの垂れ幕には、「カネゴンよ、どこへ行く?」の文字が。ここ
で次回へ続くとしている。いずれも、放映された「繭」にはないシーンだが、カネゴンと少年
たちの様子が生き生きと描かれている。
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