http://www.asahi.com/science/news/TKY200607120335.html 世界的なIT(情報技術)ベンチャーが生まれる米国シリコンバレーにならい、
国際的に通用する画期的技術を生み出そう――そんな触れ込みで文部科学省が
始めた事業が苦戦している。開始から5年間で取得できた国際特許はわずか1件。
事業には国費が年間100億円つぎこまれており、財務省は「国際競争の観点から
厳格な事業評価を」と求めている。
この事業は02年度に始まった「知的クラスター創成事業」。信州大を中心とする
超微細素子開発の長野・上田(長野県)や、理化学研究所を中心とする
先端医療技術の神戸など、18地域が年間各5億円の助成を受けている。
今年度で助成が終わる11地域について財務省が成果を調べたところ、
国内の特許出願は最も多い地域で155件、地域あたり平均83件あったが、
国際特許は出願自体平均14件と少なく、取得は浜松ホトニクスなどが光技術開発を
進める浜松地域の1件のみ。文科省によると、18地域全体でも国際特許取得は
これだけで、国際競争力に疑問符がつく形となった。
財務省の指摘に対し、文科省基盤政策課は「革新的な技術は一朝一夕に
生まれるものではないし、特許は出願から取得まで時間がかかる」と反論している。
特許庁によると、特許出願から取得まで、国内特許は平均32カ月かかり、
国際特許は米国が同28カ月、欧州が同41カ月かかる。