高原が今日立ったピッチはカズが38年間夢見続けたピッチ

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771番組の途中ですが名無しです
Jリーグが始まった年だから、もう何年前になるんだろう。
名古屋の栄の焼き肉屋へ家族で行ったときのこと。
座敷席にカズさんと北沢選手と、数人の女の子がいた。
多分遠征中だったのだろう。

当時高校生の俺の小学校三年の弟はサッカーをやっていた。
せっかくだからと、尻込みする弟をカズさんの前へ連れて行き、
「お楽しみのところすいませんが」
弟がサッカーやっているんで、何か言葉をいただけると励みになるんですが。
と厚かましく、言った。
カズさんは、「お、サッカー少年か」と楽しそうに言いながら、座敷席の奥からわざわざ立ってこちらへ
来てしゃがみ込み、弟と目線を同じ高さにした。

「サッカー少年は勉強がよくできるか?」と、いきなりキングは弟に聞いた。
弟の成績はそれなりによい。弟はうん、と答えた。
するとキングは
「頭のいいやつは、トップ下MFがあってる」と、カリオカ、ラモスの名前を挙げた。
さらに何かを言おうとするキングに、連れの女の子が、ねえまだーと露骨にいやそうな顔をした。
カズは、振り返って一言言った。
表情は向こう向きだったから、わからなかったが、多分厳しい顔をしていたのだろう。
「うるさい。俺たちは今サッカーの話をしているんだ」

俺は貴方があの時に続けていった言葉をまだ、覚えています。
「馬鹿な俺は、FWで前むいて走るしかないんだけどさ」と、誇らしげに。

カズさん。
弟は、クラブチームでも高校でも大学でも、全国には行けなかったけれど、トップ下でがんばりましたよ。
今でも、地域の草サッカーチームで楽しんでいます。
俺も、学校を辞めたくなっても、就職活動で悩んでも、仕事がつらくても、前を向いて走っています。